お風呂カフェ

大宮のお風呂カフェに来た。
先輩が誘ってくれた。男3人。

裏では同期コンパが行われていたけど俺はお風呂カフェを選んだ。
次々と送られてくる同期の楽しげな写真を見るのが辛かった。

お風呂カフェは、大浴場があって、なんかだらだらできるスペースがたくさんあって、漫画がたくさんあって、レストランがあって、みたいなかんじです。
雑に表すと、洒落たスーパー銭湯

洒落ているからこそ、カップルがやたら多い。至る所にいる。そして彼ら彼女らはやたら密着している。よい。
よいのだが、急に発見すると心臓に悪い。本を読んでいて、ふと顔を30度左に向けるとカップルが抱き合って寝っ転がっている。びくっとする。
梨園でボーッとしていたら目の前に大きなカエルがいた時の衝撃を思い出した。

そして今これを書いている横でもカップルが抱きしめ合いながら寝ている。幸せの権化だ。

風呂だけど、普通にきもちいい。
詳しくないから何も言えない。
きもちいい。
計3回大浴場に行った。

サウナに結構入ってたけど、そこでの年寄りの会話が面白い。

A「おう、あの店員は愛想が悪くなったな」
B「本当だよなあ!愛想が悪くなった」
A「偉くなったんかな。主任とか?」
B「だろうなあ。本当に愛想が悪くなった」
C「えっ、俺の時は愛想悪くないよ。俺いっつも冗談言ってっから」
A「いや、愛想悪くなったよ」
C「そんなことねえって」

やめてくれやめてくれ。
サウナで異論を唱えないでくれ。
口論の種を蒔かないでくれ。
ここで喧嘩をして倒れたらどうするんだ。俺はどうすればいいんだ。
静まれ静まれ。

と念じていたら話題が変わった。

A「まああいつの親はゴルファーだからなあ」
B「いや、あいつ、父親いねえよ」
A「いや、いるよ。いるっつってたもん」
B「いるっつってるやつはいねえ。いないっつうやつはいる。そういうもんだ」

ま、マジですか。
すごい。
こんな理論を堂々と展開してみたい。
ちなみにAの方は納得したようなことを言っていたが、Bの暴論をバカにしていることが口調から伝わってきた。

また、ロウリュというフィンランド発祥のサウナスタイルを体験した。
石に水をかけ、室内に蒸気を充満させたあと、でかいうちわで一人一人を扇ぐ。その風は涼しくない。熱風だ。体感温度は100℃だと言っていた。

1人につき8回扇ぐのだが、凄まじかった。目が開けられない。

(うおっっ!!)
(うおっっ!!)
(あついっ!)
(ひいっ!!!)
(おわれ!!!)
(おわれ!!!!!)
(おわるぞ!!!!!!)
(ラストだ!!!!!!!!!)

(ふぅ…)

無言で耐えた。

室内の全員を扇ぎ終えると、扇ぎ係が「2回目をご希望の方はいらっしゃいますか?」と言った。

変態悪魔だ。

勘弁してくれと思いつつ、黙って下を向いていたら俺の両サイドが手を挙げた。

変態乞食だ。

君たちに向かった熱風は俺にも来るのだ。他人を思いやれ、馬鹿者。

まず左隣の人を扇いだ。熱風が来た。顔をしかめながら、全てが終わるのを待っていた。
すると店員が俺を見て「どうしますか?」と言った。馬鹿が… 
「大丈夫です」と言って手で制した。
すると扇ぎ係は「かしこまりました」と言って扇ぎ始めた。

バーカ!!!

しかしここで「ストップストップ!」とか言うと究極にダサいのだ。
サウナでダサい者は男失格だ。

黙って下を向き、耐えた。

周りの年寄りの心の声が届いた。

(あーあ、やりたくないのに扇がれちゃってるよ。ドンマイ)

恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい

終わった。
熱さがわからなかった。

そして一巡し、扇ぎ係は言った。

「最後にもう一回という方は…?」

俺は迷わずしっかりと手を挙げた。

2回目を扇がれずに済んでいたらこの言葉は究極の戯言となっていただろう。
しかし、その時ばかりはまさに地獄に垂らされた1本の蜘蛛の糸。
3回目を快く受け入れることで2回目を正当化するのだ。

扇がれながら心は叫んだ。

見てるか年寄り共。俺はこの熱風が好きなんだ。好きで扇がれてるんだ。

終わった。
勝った、と思う。

最後に全員で3本締めをした。

フィンランドに3本締めはないと思う。

そして扇ぎ係は「サウナマット交換のため、一度ご退出ください」と言った。

しょうがないっすね、みたいな顔をしてシャワーを浴びに行った。

男レベルが上がったと思う。




そんな感じです。お風呂カフェ。

ご飯おいしかったです。

また行こうと思います。

雑に締めます。